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出会い監禁レズビアン

 佐伯奈津は、二十年前に妊娠して久美を産んだが、
交通事故に合い二十歳の久美を残して他界した。

 久美には、二つ違いの妹がいると母から聞かされていたので、
財産分与をするので妹の生死を確かめるために探す事になった。

 母の残した財産は、土地と建物の他に二千万円の預金を残していた。
評価価額は不動産が、二千万円なので相続税は控除されて非課税となるので、
実額一千万円を妹に相続させるのだ。

 久美に不動産を相続させて、妹には放棄してもらう事が前提となるが、
妹には一度も会ったことがないので、家庭環境で左右されて、欲が出ないか心配だった。

 変わり者のおばさんに引き取られていると聞いていたので、電話して訪ねる事になった。


 6月の梅雨入り時なので、気分が優れなかった。
 貸切ハイヤーで親戚のおばさんの家に向かった。
 そこは、海抜千メートルの高原にある民家だと聞いていたが、
最近ダムダム
が出来て日の目を見たらしく新築の家が点在していた。

 山本美佐という民家なので、すぐに発見し玄関に到着した。
「あの〜奈津の娘の久美ですが、山本さんのお宅ですか?」

 久美は、田舎なので、すぐに返事がくると安易に考えていたが、
家の中から返事がないので、携帯から電話しようとしたが、圏外になっていて使えない。

民家の裏に回り込んで勝手口を探した。
「あっ!誰かいますか?」
家の小窓に人影が見えたので、大きな声で叫んだが奥に消え去った。
久美はハイヤーの運転者に居留守を使われたことを相談してみた。

「それなら、近所から電話してもらえばいいでしょう」
「居留守で電話に出ないでしょう」

「田舎なら電話に必ずでるよ。特に部落の人なら居留守は使わないですよ」
「そうなんだ」

近所の民宿のおばさんが電話してくれると言ってくれたので、
美佐おばさんの家に入る事か出来たと安易に考えた。

「ごめんね。
最近ダムが出来て、補償金狙いの勧誘や泥棒が嫌で開けないんだよ」
「妹がいると聞いて来たのですが、いないのですか?」

「居るけど会いたくないと言っているから、部屋から出て来ないよ。
話なら私にしなさいよ」
「おばさん、
 お母さんの遺産を妹に渡したいので会いたいと言ってください」

「さっきも言ったけどダムの補償金が沢山入ったからお金はいらないのよ。
奈津から預かった明菜を養女にしたから相続権は無いはずだし、
あるなら放棄するから書類を渡しなさい。郵送するから今日は帰りなさい」

おばさんは、明菜という妹がいるとハッキリ言ったけど、
久美は会えないで帰るわけにはいかないと頑張った。

無口の時が続いていたが、民宿のおばさんが久美に片目をウインクして、
アイコンタクトをしてきたので、ワケありだと気付いて引き上げる事にした。

「書類をおばさんに預けますので、郵送してください」
「なるべく早く郵送するから、とにかく帰りなさい」

久美は、おばさんに追い出されてハイヤーに乗り民宿に向かった。

民宿のおばさんは、今日は泊まりなさいとワケありげに久美に言うので、
ハイヤーに料金を支払い、町に返す事にした。

民宿のおばさんは久美をおばさんの家が見える部屋に案内すると、
関を切った様におばさんの悪口を言い出した。

「明菜ちゃんはね。いじめられているのよ。二階に監禁されているのよ。
首輪をつけてお散歩させるのよ。駐在さんを呼んで調査したらね。
 同意の上での静養なんだって」
「妹は体調が悪いから、静養しているのですか?」

「医者の診断書と静養理由はね。
 対人恐怖症と喘息の治療法で高麗地での療法なんだって」
「そうか、それなら遺産相続権は放棄してもしょうがないよね」

民宿のおばさんは、さらに興味深い事を言い出した。

「嘘だよ。だって明菜ちゃんの同級生が、うちの娘なんだけど、
 簡単に部屋に入って遊んで来るんだよ。
  うちの娘は無口でね、親の私達にもほとんど話をしないんだよ。
お願いがあるんだけど聞いてくれるのかな?」

急にトーンダウンして久美の顔に近づいてきた。
「実は今も山本さんの家に行っているんだよ。
 物音がしなかったから、二階にはいないんじゃないかな?」

  民宿のおばさんが久美に解説したのは、
 この地域は冬に積雪が多くて家屋の一階を埋め尽くして二階から出入すると言う。
  二階は、明菜の部屋とおばさんの部屋とダイニング、
 トイレとお風呂が兼用のユニットバスがあると言う。

 久美は都会にある三階建てで一階に地下室は無いのかと聞いた。

一、二メートル土が凍りついて凍土になるから基礎が深くて高い寒冷地仕様の
 家なので建前の地鎮祭の時に基礎が仕組まれた時点で、
 地下室なんてありえないと言う。

久美は部屋で明菜と民宿の娘が抱き合っているから出て来なかったと考えていた。
 地下室は後からでも掘り下げる事は出来るが、
 周囲に気付かれず工事をする事は不可能だと考えた。

 民宿のおばさんには想像出来ない愛の世界を山本のおばさんは作ったのだ。
  母が久美を愛した様にレズビアンの世界を作り上げたと思っていた。
 遺産相続よりも明菜の真意を確かめてみなければ帰れない気がした。

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